絶望は愚者の選択


by beautiful_japan
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31

想定外地震による原発事故や工場被害で自動車生産中止が示唆する私たちが本当に考えなければいけない事

■欲望の解放と人口増加
人間圏へのエネルギーや物質の流入量が増えれば、我々は欲望を解放しても生きられるようになります。例えば、以前は共同体が所有していたものでも個人が所有できるようになります。現代はあらゆるものを、個人が所有している時代です。そういうことが可能になったのは、人間圏へのエネルギーや物質の流入量が多くなったからです。

その結果として急速な人口増加という問題も起ります。人間圏に流入する物質・エネルギーをいくらでも増やせるので、人間圏が拡大してもそれを維持でき、いくらでも人口は増えていくわけです。流入量が一定ではこのようなことは起こり得ません。これが現在の人間圏です。

20世紀に起った人間圏の拡大の異常さを、人口増加を例にして考えてみましょう。20世紀の増え方の割合で人口が増えていくとすると、人間圏の重さが地球の重さに等しくなるのに何年かかるでしょうか?人間圏の重さとは、人口に一人の人間の平均の体重ををかけたものと考えることにします。20世紀の人口増加の割合は、100年で約4倍です。100年で4倍になるということは単純に考えれば50年で倍になる。体重×人口がトータルの重さですから、人口が50年で倍になったときに、それが地球の重さに等しくなるまで何年かかるかを複利計算で解けばよいわけです。

このような計算をすると、二千数百年で人の重さが地球の重さに等しくなることがわかります。20世紀の人間圏というのは、そういう異常な時代だったわけです。つまり地球システムの中で無制限に人間圏が拡大できるという境界条件のもとでしか20世紀のような拡大はありえなかったのです。このようなことは21世紀には起こりえません。

我々がこれからの人間圏をどうするのか、あるいはどうしたいのかを早急に決断しないと、このままでは地球システムから負のフィードバックが強制的にかかり、人間圏は縮小せざるを得なくなるでしょう。人間圏が強制的に縮小していくということは、今までのようなエネルギーや物質の流入がなくなることで、人間圏の内部における物質・エネルギーの分配の問題は非常に深刻になります。それにともなって人間圏の内部に大変な混乱が起ることが予想されます。人間圏が20世紀的発想で運営されれば、21世紀はいずれこのような状態に陥るのです。

a0085558_144615.jpg

■自然という古文書
宇宙、銀河系、太陽系、地球のすべてに始まりがあり、その歴史的過程を経てつくられた今の姿を見て我々は自然と呼んでいます。しかし現在の自然は、宇宙の始まりの瞬間から存在していたのではありません。宇宙の誕生から150億年たったあとの、地球上、あるいはそこから見える世界を自然といっているわけです。

現在我々が観察する自然とは、宇宙の誕生から現在までの間に、この宇宙でつくられた物質の蓄積した結果といえるのです。つまり、自然とは、ビッグバン以来の物質進化の歴史的産物ということになります。自然とは何かを解明することが自然科学の目的ですが、そうだとすると自然を知るということはまさに、ビッグバン以来の宇宙の歴史を知るということになるわけです。

今までに解読された知の体系、つまり歴史を知らないと、我々はこれからどこへ行くのかは議論できません。歴史を知らなければ未来は語れないのですから。もちろん普通に使われている歴史という言葉は、我々のような知的生命体、すなわち現生人類の歴史、文明の歴史という程度の意味です。それは1万年くらいの歴史にすぎません。

生物学的な意味での原生人類の歴史をたどっても十数万年です。ヒトの歴史としては700万年、多細胞生物として10億年弱、真核生物として20数億年、地球生命としては38億年、宇宙という意味で生命を考えれば150億年におよぶわけです。我々は何かということを、宇宙から見える存在として考えると、この宇宙の歴史、地球の歴史、生命の歴史を解読した知の体系がどんなものか知らないと、未来は語れないのです。

■言語から共同幻想へ
第4章で、我々が人間圏をつくったことには、生物学的な理由もあることを述べました。その一つとして、現生人類が脳の回路の接続のしかたを変えたことを紹介しました。それまでのヒトと、現生人類との違いは、脳の容量にあるのではなく、脳の神経細胞の接続のしかたが変ったことにあるという考え方です。

具体的には現生人類に至って言語が明瞭に話せるようになり、コミュニケーションの能力が飛躍的に増大し、自分の目の前で起っていないことでも相手に伝えることができるようになったということです。それが大脳皮質におけるそのような回路の接続状態を変え、それに伴って抽象思考ができるようになり「共同幻想」を抱いて生きるようになったといえます。この共同幻想を抱ける、あるいは脳のなかに外部世界を投影した内部モデルを構築するといってもよいですが、そのことが、人間圏の成立にとって重要な条件の一つだったのです。

共同幻想を抱けるがゆえに、過去の歴史に学ぶという唯物論的な見方とはまったく違った意味で、人間とはかくあるべきであるというさまざまな共同幻想がつくり出されてきたのです。それが人間の内部にさまざまな共同体をつくり出し、その結果人間圏は分化し、その内部システムはシステムとしてタフなものに変化してきたといえるのです。

我々は共同幻想を抱けるがゆえに人間圏をつくり、人間圏を運営してきたわけですが、その共同幻想が逆に人間を規定するようになっているともいえます。共同幻想の最たるものは右肩上がりという考え方です。過去100年、あるいは1万年の歴史を見ても、人間圏は一貫して拡大してきています。右肩上がりに推移するという共同幻想が実現し、それがゆえにそこから脱却でみなくなっています。

人間とは共同幻想を抱いて生きる動物です。その共同幻想をもって「人間とは何か」ということを考えているがゆえに、人間圏をつくって生きる知的生命体とはまったく違った意味で「人間」という知的生命を定義して議論がされてきました。例えば20世紀に確立された人権や民主主義、市場経済などをもとに21世紀が語られるのが普通です。誰もそのことを疑いません、本当にこれでいいのでしょうか。

20世紀に確立した概念や制度は、宇宙から俯瞰して見れば、地球システムのなかで人間圏が無制限に拡大可能(にみえたにすぎないが)という、特殊な境界条件下でのみ成立したものです。この20世紀の境界条件下でのみ成立する人間圏の内部システムと、そのような状態での人間のあり方が、人間という概念を規定してよいものかということを、本当はもう一回考え直さなければいけないはずです。

地球システムのなかで、人間圏の置かれている境界条件が変ったとすると、20世紀の議論をそのまま延長することはできないはずなのに、人間中心主義の考え方ではなかなかそういう発想にならない。それが人間圏にとって本当は深刻な問題なのです。

a0085558_122751.jpg

■リアルワールドとサイバーワールド
人間圏がここまで大きくなると、時間変化を速めるといっても、このままずっと速めていくということはできません。我々が右肩上がりという共同幻想を維持したいとしても、地球上で実際に物質、エネルギーの流れを速くするという意味では、それは達成できなくなりつつあります。

それを情報という仮想的な世界、地球というリアルワールドではなくて、情報社会というサイバーワールドをつくって、その中の時間を速めることによってサイバーな豊かさを追求しようとしているのが、現代の人間圏のもう一つの特徴だと私は考えています。

最もわかりやすいのは各国の貨幣を売買する国際金融です。実は貨幣も我々が抱く共同幻想の一つです。貨幣は物と物との交換のために導入された概念的なものです。交換可能という幻想の上に成立しているだけで、物との交換ができなければ価値がありません。

国際金融などは、貨幣という共同幻想を売買しているといえます。その総額が、貿易のような、物の移動に伴う額の100倍ちかくになっているのが現状です。このように共同幻想から成るがゆえにサイバーワールドは飛躍的に拡大していけますが、リアルワールドはもう拡大できません。この対比もまた現代社会の特徴を端的に表わしていると思います。

これまでの右肩上がりが継続し、時間変化もいくらでも速められるという幻想を、あたかも現実であるかのように見せる世界だけが発達しているのが現在の人間圏です。そのサイバーワールドに、右肩上がりという共同幻想を押しつけて、あたかも未来も豊かになっていくかのような幻想の中で生きているのが現在の我々とも言えるのです。(read

a0085558_1333792.jpg

■人間界のことにしか結局は関心がない人が多い。 その人間界だって自分が生きている間だけにしか関心がない。read
■私たちのいのちの奇跡的な歴史(read
■NHKは民放・電通と一線を画す毅然とした番組を作り続ける事に意義があり若年層に変に媚びる必要はない(read
■亡国の食糧自由貿易論 年間8000万人のペースで増え続ける世界人口で食料危機(read
■ベネトンやエルメスまで登場したセレブご愛用「エコバック」人気沸騰(read

[PR]
by beautiful_japan | 2007-07-20 23:59 | 環境負荷 淘汰圧増大