絶望は愚者の選択


by beautiful_japan
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■むしのこえ うたにきこえる にほんじん■

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■虫の世界は、音に満ちている その1■ 08/08 
悪いことに、標本を見ていると、あれこれ、わかることがある。これには際限がない。ゾウムシの頭を走査電子顕微鏡で見ていたら、大顎の関節が見えてしまった。なんと、関節がデコボコしている。関節面に細かい突起がたくさん並んでいる。

私は脊椎動物の解剖をやっていた。だから関節面は平滑だと思い込んでいた。とんでもない。昆虫の関節は、見慣れた脊椎動物のものとは、まったく違う。たとえば頭と胸の間の関節を見てみると、表面が網の目状になっている。

昨年の秋に、たまたま島根の福井修二さんが来て、アリヅカムシ(体長1ミリ少々のとても小さな甲虫の仲間。アリやシロアリの巣などに住んでいる種がいるため、この名前がついた。なにせ小さいので観察には走査電子顕微鏡が必須)の 標本を持ってきた。アリヅカムシの腹に突起があって、後胸腹板にはまるようになっている。その突起の表面は関節面のはずだが、なんとヤスリ状である。こりゃ発音器だよ。思わずそう叫んでしまった。

でもアリヅカムシが特別に発音器を持っているわけではなかろう。どこを見たって、いうなれば発音器だらけなのである。セミやコオロギのように、鳴く虫というのがあると思っていたが、それは短見でしかなかった。人間の可聴域の音を出す虫が鳴く虫と呼ばれるだけであって、すべての虫は鳴くのである。鳴くに違いない。

カミキリを捕まえると、キイキイいう。それは一部のカミキリだと思っていたが、超音波でキイキイいっているカミキリがないとはいえない。ないとはいえないどころか、あるに決まっている。私に聞こえないだけである。イヌやコウモリには、超音波が聞こえるからである。犬笛の音はヒトには聞こえない


ミヤマヒゲボソゾウムシです。その頭部を電子顕微鏡で拡大してみると……


A:こうなります。複眼がはっきりわかりますね。顔に散らばるうろこ状の鱗粉、これがヒゲボソゾウムシの綺麗な青緑色の体色のもとです。複眼の先のぽっかり空いたふたつの穴は、触角の根元が収まっていたところです。


B:この穴を拡大して覗くと、穴の壁面にデコボコが秩序正しく並んでいるのがわかります。触覚の根元にも同じようなデコボコがあり、お互いのデコボコがかみ合い、カチカチカチと触角が動くわけです。そのときおそらく音がするのでしょう。


■ Food for Thought ■ 08/15
それにしても熱い!熱過ぎる!セミの声も凄い勢いです。私の最近の修行法は炎天下で水着になってラグを敷いて座を組んで、「ホーミー」でセミとシンクロする事です。鳥は比較的簡単にシンクロして鳴いてくれるのですが、セミは難しい!こっちがセミに合わせるのは楽勝ですが、こちらの変調に合わせるかのようにセミが突然TB-303(wiki)のような低音で鳴き始める事があるんです♪その時はアナルから脳天までシナプス(wiki)が走り、大地と天の間で貫かれたようなエクスタシーを感じます。はっきり言ってセックスより全然気持がいいですよ!

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余談になりますが「虫の声が雑音」にしか聴こえない人たちってホントに同じ人間なの?それでよく「ミニマル・テクノ」とか聴けるわね?その点「かえるのうた」はいい!

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■宇多田ヒカルになるには■ 08/26 
私の趣味はカラオケ。特にものまねに凝っているが、約8年前、大きな壁に当たった。宇多田ヒカルだ。全身にシャワーのように染み入る声に惹かれたものの、理解できない。この声の研究と武術の稽古は、私には同質の課題だった。以下は、彼女の声を写し取ろうと試みつつ、勝手に推察したことだ。

まずはパワー:宇多田は肩甲骨の動きが柔らかく、肩を落下させる力で胸部を締め縮めて声を出しているように見える。膝関節も緩め、足の支えを抜く形で上体を落とし、ここでも位置エネルギーを運動エネルギーに転換している。体は力まず骨格を広げ、下腹まで深く息を取り込む。この吸気を主に意識し、あとはつかえを外すことで息を開放させている。なるべく体勢を崩さず運動するのがポイントだ。

次ぎに声質:歌唱では喉を締めるなというが、全開にするだけでは声の色彩が足りない。宇多田は頭蓋骨(特に上顎骨など顔面の骨)や喉の表面を振動させて、独特の揺らぎ、かすれなどを生む。意図的ではなく、呼気や、体内から溢れた力を頭蓋にぶつけ、結果的に揺らがせる。声が抜けて息のようにぼけやすいファルセットも、頭蓋骨の絶妙な緊張・弛緩の感覚によってシャープに出す。逆に低音は下顎の容量を深くとり、大地に広がるような響きにする。

発音も独特で 、上下の顎を狭く保ち、口をあまり縦に開かない。また、口蓋垂という喉の奥の弁は通常、ナ行など鼻から出す音のときを除き、口のみへ息を通して発音させる働きをもつが、宇多田のまねでは、より頻繁に鼻が振動し、鼻と口の両方で発音している感覚だ。それでいて特に鼻にかかった声でもない。内側から頭蓋に偏りなく広く当てた声が、鼻と口から出る印象だ。口腔部のみでなく、喉の奥や頭の骨格までが音色づくりに参加している。そのためか、頭が固くて息が浅い日には、宇多田の声とかけ離れてしまう。私にとってものまねは、工夫するほど身体感覚が目覚めてゆく無限のツールとも言えるのだ

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■虫の世界は、音に満ちている その2■ 08/22
すべての虫は動けば音を立てる。関節構造を見れば、そう考えるのが順当ではないか。前回はそう書いた。それでさまざまな長年の疑問が解決する。そこが私にはとても面白かったのである。

昆虫のコミュニケーションに音が使われているのは明らかである。セミもコオロギも、うるさくて仕方がない。ほかの虫は黙っているから、静かでいい。そう思うのが、典型的な偏見であろう。自分の耳が悪いだけなのである。自分に聞こえる音しか存在しない。そう思うのが、人間の意識中心主義である

それはいいとしよう。私がまず思ったのは、アリの巣はさぞかしウルサイだろうということである。小さな穴のなかに、おびただしい数のアリがいる。それが動き回る。関節が動くたびに音がすると仮定すると、キリキリ、カリカリ、コリコリ、やたらに音がしているに違いない。アリはそれをコミュニケーションに利用しているのではないか。社会性昆虫にとって、コミュニケーションはきわめて重要である。カール・フォン・フリッシュのミツバチについての業績を挙げるまでもない。

もし音を利用しているとすると、はじめてアリに共生する昆虫の存在が理解できる。私は長年擬態に興味を持ってきた。アリの巣に棲んでいる虫は、しばしばアリにそっくりの形になる。しかし逆に、形がアリにまったく似ていない共生者も多い。

たとえばオーストラリア大陸には、アリが多い。林のなかの石をひっくり返して歩いたら、すべてアリの巣があったという覚えすらある。そのアリに共生している虫も多い。クイーンズランドの博物館でフィジー島でアリの専門家が採ってきたという、カミキリムシの標本を見せてもらったことがある。アリを採集してきて、博物館で標本にしていたら、アリのなかから、カミキリムシが見つかった。専門家ですら、アリと間違えて、カミキリムシを採ってきてしまったのである。

オーストラリアに棲むアリには、ブル・アントという原始的なグループがある。多摩動物園の昆虫館で飼っていたから、いまでもあそこにいるかもしれない。このアリに擬態するカミキリムシは、何種かいる。アリとそっくりなやつもいれば、よくよく見ていると、なんだかブル・アントに似てるじゃないか、というのまである。つまり姿や形が似ていてもいいし、似ていなくてもいい。そこが不思議だった。

似ているものでも、最初にアリの巣にどうして住み着くことになったのか。その理由がわからなかった。あるとき『月刊むし』を見ていたら、クロシジミの幼虫の話が出ていた(と思う)。なにしろ蝶にあまり関心がないし、読んでもじきに忘れてしまう。ウロ覚えで書くと、アリがクロシジミの幼虫を巣に連れて行ってしまう。そういう事例があるというのである。クロシジミはべつにアリに構ってもらう必要はない。アリがいなくたって、ちゃんと幼虫は親になることができる。でもなぜかわからないが、ときどきクロシジミの幼虫はアリに拉致されるのである。

そのきっかけは音じゃないか。そう私は思ったのである。アリがコミュニケーションに使う周波数の音を、たまたま自分の種内のコミュニケーションに使っている虫がいるとする。そういう虫がアリの巣に住み込んでしまうのは、不思議なことではないであろう。おたがいの誤解の上に、共生関係が始まる。それは人間だって同じかもしれない。美空ひばりは私と同い年だが、離婚するときに、「誤解して結婚して、理解して別れる」という名言を吐いた。虫は誤解してアリの巣に住み着き、理解してそのまま居座っているのではないだろうか。

アリに対する擬態を、化学的なコミュニケーションだとしても、姿形が似ていない虫がアリの巣に住み着いてもいいことになる。たまたま同じ匂いを出すということである。でもアリの巣で、臭いのコミュニケーションというのは、能率が悪いんじゃないだろうか。あんな穴のなかで、うっかり臭いなんか出したら、臭いがなかにこもってしまうではないか。それを避けるには、空気中でただちに分解されるような、活性の高い物質を分泌するしかない。そういう物質を作るのは、音をつくり出すことに比較したら、コスト高に違いない。そういうフェロモンが論理的にはあってもいいが、それなら音のほうがもっと可能性が高いはずである。


■元ロックプロデューサーの神経科学者に聞く、音楽と脳の関係■ 08/29
Daniel Levitin氏はかつて、ロック音楽のプロデューサーとしてスティーヴィー・ワンダーやグレイトフル・デッド、クリス・アイザックなどと一緒に仕事をしていた。しかし、音楽業界の変化に幻滅したLevitin氏は、神経科学分野の研究に魅力を感じて学問の世界へ身を転じた。 転身から16年、Levitin氏は現在、カナダのモントリオールにあるマギル大学で準教授を務め、音楽の知覚認知分野の世界的権威として活躍している。

ワイアード・ニュース(以下WN):音楽にまつわる通説の中で、神経科学によって否定 されたものはありますか?

Daniel Levitin氏(以下敬称略):才能にまつわる通説は覆されたと思います。スティーヴィー・ワンダーが持っていてほかの誰にもないような、音楽に関わる遺伝子や脳の中枢といったものは存在しないようです。 (才能ある人々が、)最初からほかの人間とは違う脳の構造や配線を持っているという証拠はありません。ただ、どんな分野にしろ——チェスでもカーレースでもジャーナリストでも——その道の専門家になることで脳が変化し、専門分野に対して効率良く働く回路が出来上がることは確かです。 忍耐力や、目と手の連携といったものに関しては、遺伝的あるいは神経的な素因が考えられます。(また)心地良い声が出せるような生理機能を持って生まれることはありますが、これは歌手としてのキャリアを保証するものではありません。

WN:音楽を通じて、脳のどんなことが分かりますか?

Levitin:音楽と脳の研究を通じて、感情、計時、知覚——そしてシークエンス(連続)の作成——に関わる特定の部位をマッピングできるようになりました。 脳がパターンをどう扱うのか、そして、誤った情報が含まれている場合、脳がいかにしてパターンを完成させるのか、といったことが分かってきています。 中でも、前頭葉のBA47と呼ばれる部分は大変興味深いのです。音楽の研究から、1つのシークエンスの中で次に何が来るのか予測する上で、この部位が役立っている可能性が示唆されています。

WN:脳に障害や損傷を持つ人の研究を通じて、音楽知覚に関して分かったことがあり ますか?

Levitin:音楽の能力というのは、実際には単一の能力ではなく、10以上の能力の集まりだということが分かりました。脳の損傷によって1つの能力が失われても、ほかの能力まで奪われるとは限りません。たとえば、リズム感を失っても、音の高低は分かったりします。 視覚の分野でも同様のことが認められていて、色の知覚だけ、あるいは形状の知覚だけを失うということがあります。 私は、脳を一種の計算装置として考えています。脳には、問題をいくつかの細かな部分に分けて計算する、小さなコンポーネントが集まっています。そして、脳の別の部分では、それらの計算をタペストリーやキルトのように縫い合わせているのです。

WN:あなたは、脳よりも精神(マインド)に興味があると書かれていますね。その2つはどう違うのですか?

Levitin:脳は、ニューロン、化学物質、水、血液などの集合体です……。一方、精神は、脳から生じる思考のことです。解剖学者や神経解剖学者というのは、脳の組成や細胞間の連絡といったことに特に興味がある人たちで、脳の構造や配置を研究しています……。 一方、われわれが解明しようとしているのは、脳の(どの)部位が何をしていて、各部位がどう連絡しあっているかということです。それも、ニューロンや細胞レベルでの説明にとどまらず、実際の概念や思考、記憶のレベルで論じようとしています。

■元ロックプロデューサーの神経科学者に聞く、音楽と脳の関係■ 08/30
WN:進化論的な視点から見て、なぜ人間は音楽を生み出したのでしょうか?

Levitin:いくつか異なる説があるのですが、その1つに、音楽は、進化の過程で、言葉に付随して偶然生まれたという説があります。つまり、人間は言葉を応用して、純粋に楽しむためだけに音楽を作るようになったというわけです。 この説と対立するものとして、ダーウィン的な考え方があります。音楽は、潜在的な配偶者に対して、ある種の知的、肉体的、および性的な適応度を示すものだから、進化によって選択されたとする考えですね。

WN:それをロック音楽で説明するとどんな感じですか?

Levitin:妊娠させてほしい相手を選べるとなった場合、女性はロックスターを選ぶ傾向がある(という研究結果が出ています)。 ロックスターの遺伝子には、創造性、思考の柔軟性、心身の柔軟性、感情を表現し処理する能力などを示唆するものがあります。 また(音楽の才能は)、食物の収集や住みかに直接影響しないことに時間を費やせること、つまり
、食物の収集や住みかについては心配がいらないことを示唆しています。

WN:人間以外の動物も、音楽を聴くのが好きなのでしょうか?

Levitin:そういう証拠はありませんね。鳥が、自分たちの鳴き声を(たとえばわれわれ人間がそれを利用するのと同じ目的で)利用している、ということを示すような証拠はありません。また、動物が音楽を娯楽としていることを示すような証拠もありません。 また、人間が常識と考えている音楽の基本的な事柄が、動物界には存在しません

WN:脳における音楽と感情の結びつきについて、どんなことが分かってきていますか?

Levitin:音楽は、オーガズムを感じる、チョコレートを食べるといった他の多くの快い活動と同じ脳の部位を活性化し、同じ成分の神経化学物質を放出させます。ギャンブラーが博打で勝った時や、薬物使用者が薬物を摂取した時と同じです。セロトニンドーパミン
の両方が関わっています。

WN:音楽は抗うつ薬になるでしょうか?

Levitin:もうすでになっています。西洋社会では、大半の人が、気分をコントロールするのに音楽を利用しています。 たとえば、朝には景気のいい音楽、大変だった1日の終わりには癒しの音楽、エクササイズする時には体を動かしたくなるような音楽、という具合に
。 ジョニ・ミッチェルから聞いた話ですが、彼女は誰かから、『Prozac』[訳注:抗うつ薬]よりあなたの音楽が効くと言われたそうです。

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■犬はセミの鳴き声には興味がない■ 09/03
Q:826への回答ありがとうございました。暑かった年の夏が終わろうとしています。毎年、近くの公園に犬と散歩に行ってわたしは夏の終わりを知ることになります。川崎市と横浜市の境にあるその広い公園はよくわたしの作品にも登場します。秋の紅葉や春の桜など、四季それぞれに趣があるのですが、夏は何と言っても雑木林のセミの鳴き声のシャワーです。盛夏の雑木林では、まさにシャワーを浴びるようにセミの声が四方八方から聞こえてきて、自然と生命に対し畏怖の念を持ちます。犬はセミの鳴き声には興味がないので早く行こうとせかしますが、待てと指示して、わたしはしばらく目を閉じ360度のサラウンド・システムの音に聞き入ります。

数百、数千のセミの数だけの極小のスピーカーがあるわけで、その響きはたとえ大好きなBOSEのシステムでもかなわないと思います。セミは何年もの間地中にいてほんの1週間だけ地上で生息するそうです。昔、そんなセミが可哀相だと言った友人がいて、わからないぞとわたしは反論しました。セミにとっては地中のほうがハッピーかも知れないからです。セミの身になって地中の生活を想像したり、セミの気持ちを翻訳するのは不可能なので、地上で生きるほうがよりハッピーだとは言えないと思いました。

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Mo Horizons - Come Touch the Sun
1.Yes Baby Yes (Sally Said)
2.Bar Rumba
3.Big, J'Aim
4.Hold On
5.Fever 99
6.Foto Viva
7.Come Touch The Sun
8.Walk Into Space − Part I & II
9.Oye! ... Bossa
10.Brazil
11.Prince Charles' Latest Affair
12.Flyin' Away

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■すぎさりし なつのおもいで ありがとう■

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by beautiful_japan | 2007-09-03 21:21 | 和心 覚醒