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絶望は愚者の選択


by beautiful_japan
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■GDPを押し上げる実体経済の合理性によって生じる不自然な実態■

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■合理主義を徹底的に押し詰めてゆくと不合理に転換する
日本の畜産農家・牛乳生産農家は深刻な経営難に直面している。営利企業である大手の農場経営者と、乳製品メーカーが、営利企業の金儲け至上主義としては、悪しき意味で「当然」である「最大利益」を求め、牛乳の大量生産・大量販売を目指して来た。「売れば売る程」利益が出る、という発想であった。個別の企業の、この最大利益を求めるという「金儲け主義から見れば当然、合理的な」行動が、業界全体では過剰生産=過剰在庫を生み出し、大量の売れ残りを生み出した。売れなければ、価格は下落する。農家は「売っても売っても」利益が出ない=生活が出来ない、という苦境に追い込まれて行く

牛乳は本来、子牛を育てるために母乳として出てくる。それを子牛に飲ませず、人間が商売道具として奪って来た。代わりに子牛には安価な小麦を水で溶かした物等を食餌として与えてきた。現在、こうして「子牛から奪った」牛乳は、過剰な在庫となり、過剰分は冷蔵しても腐敗を免れなくなり、最終的には脱脂粉乳の形で長期保存される結果となった。しかし粉乳となっても消費期限はあり、結局、日々、新しく生産される牛乳は大部分、脱脂粉乳とし、古くなった消費期限・限界ギリギリの脱脂粉乳が「廃棄を避けるため」水に溶かされ、添加物等で味を調え、消費者に売られる結果となる。 最大利益を求めた「個別企業の合理的行動」が、消費者に「廃棄寸前」の牛乳を毎日飲ませる、という不合理を生み出した

しかし、それでも在庫は処分し切れなかった。余った脱脂粉乳は、再び水で溶かされ、子牛に飲ませる結果となった。最初から子牛に母乳を飲ませておけば良いのだが、「新鮮な牛乳」は脱脂粉乳として長期保存に回され、古い粉乳から処分するため、子牛には粉乳を水で溶かした物を飲ませている。こうして脱脂粉乳を製造するために使用された電力・石油、工場設備、保管倉庫費用等の全てが「壮大なムダ」となり、消費者は、その全ての費用を「上乗せ」された、廃棄寸前の古い牛乳を飲む結果になり、畜産農家は、倒産寸前の経営を強いられる

大手農場が利益拡大のため牛乳の量産体制を作る事も、そのために銀行から多額の設備投資資金を借金する事も、乳製品メーカーが在庫をムダにしないため脱脂粉乳化し保存する事も、個々の行動は「全て、金儲け主義の観点からは」合理的で、経済原則に「適って」いる。この個別の合理主義を「積み上げて行くと」、システム全体では、凄まじい不合理が発生する。合理主義を徹底的に押し詰めてゆくと、不合理に転換する。

■GDPを押し上げる実体経済の合理性によって生じる不自然な実態■_a0085558_13585229.jpg

by beautiful_japan | 2008-10-22 23:54 | 環境負荷 淘汰圧増大